Interview人のチカラ
一歩先の提案が
できなければ、
信頼関係は築けない。
唯一無二の武器が、
世界を広げる。
20年この仕事に携わってきた今でも、現場に立つと感じる高揚感は変わりません。 新卒で工芸社に入社してから企画営業職として、多くの展示会やイベントのブース設計を手掛けてきました。最初のうちは何もわからず、先輩の背中を追いかけて必死に食らいつく毎日でした。「ものづくり」に興味はありましたが、専門知識や技術があったわけではないですから。もともとマスコミ志望で雑誌の編集者になりたくて、大学も新聞部でしたしね。 でも、だからこそ、現場で学ぶことのすべてが刺激的でした。そこで知識と経験を積み重ねていく中で、「お客様の課題を解決するための空間づくり」という、この仕事の醍醐味にどんどん引き込まれていったんです。 だからと言う訳ではないですが、お客様との打ち合わせには常に細心の注意を払って臨んでいます。例えば、求められた要件を満たすだけでは、工芸社の仕事ではありません。お客様自身が気づいていないニーズに気づき、さらにその一歩先を行く提案をする。クオリティには徹底的にこだわり、自分自身が納得できないものは決してお客様に提案しない。そういった姿勢を続けてきた結果、気がつくと長くお付き合いが続くお客様が多くなっていました。
クオリティに
必要なのは、
お客様の声を
聞き漏らさないこと。
工芸社に入社してからの間に私自身の意識も大きく変わりました。若い頃は、「お客様にかっこいいと思ってもらいたい」という自己満足的なデザインを追求することもありました。でも現在は「どうすればお客様の役に立つ空間をつくれのるか」を最優先に考えています。 そのきっかけとして特に印象に残っているのが、ある大型の展示会案件です。前任の先輩から引き継いだ案件で、当時30歳手前だった私に対して先方も不安を感じていたことを鮮明に覚えています。ですが、やるからには全力で応えたいと思い、デザイン案も含め提案内容を何度も見直し、お客様をある意味巻き込みながら一緒に空間を作り上げていきました。
もちろん思うようにいかないことも多かったです。何度もくじけそうになりましたが、周囲に助けていただきながら最終的にはお客様から「今までと変わらず、安心して任せられる」と言っていたき、すべての苦労が報われました。その時に込み上げてきた熱い感情は忘れられません。 これを機に、「クオリティへのこだわり」と「お客様の声を大切にする」ということが自身の仕事の核になっています。 どれだけ忙しくても一つ一つの仕事に対して真摯に向き合い、お客様の要望を丁寧に拾い上げることを常に意識する。何度もアイデアを出し合い、粘り強く話し合うこの姿勢は、ずっと振らしてはいません。
時間を
言い訳にしたときに、
信頼は失われる。
展示会やイベントの仕事は常に締め切りとの戦いです。限られた時間の中で如何に質の高いものを提供できるか。それがこの仕事の難しさであり面白さでもあります。 もちろん、時間が限られているからといって決して妥協はしません。むしろ、その限られた時間を最大限に生かすため、普段から準備を怠らないことを意識しています。
デザインの方向性や設営の手順についても、事前に想定できるトラブルを洗い出し、準備段階から周到にプランを練る。ただ、それでも予期せぬ問題が起こったときは、柔軟な対応力や判断力をアピールするチャンスと思い、現場の人たちと連携を取りながら前向きに仕事に向き合っています。すべては「工芸社に頼んで良かった」と心から思っていただく空間を提供するために。どんなに忙しいときでも、お客様の方を向いて仕事をするという気持ちは切らすことがありません。
挑戦を諦めないことが、
私たちの強み。
工芸社の強みは、ずばり「自由」であることだと思います。若手でも現場に立つことが当たり前の文化があり、現場とも密に関わりながら仕事をしたい私にはぴったりの環境でした。そんな中で若い頃から裁量を持たせてもらい、挑戦を受け入れてもらえたことが、今の自分をつくったと言っても過言ではありません。 現在は部長職にあたる総合マネージャーとして、若手も含めた社員の育成やマネジメントの部分にも携わることが増えてきています。若い人たちには自由な発想でどんどん新しいことに挑戦してほしいと思っています。時には失敗することもあるでしょうが、重要なのはそこから何を学び、次にどう活かしていくかということです。私自身、若い頃に先輩たちから支えられ成長してきたことを実感していますし、これからは自分がその役割を担う番だという自負も持っています。
業界全体が高齢化の波に直面する中、これまで培ってきた経験を糧にしながらも、次世代の人たちの新しい発想や価値観を柔軟に取り入れ、どう会社を変革させていくか。私自身も一層そこに目を向けていく必要があると考えています。 ただ一方で、今は管理だけに落ち着きたくないという想いも強くあります。「ものづくりをしたい」という初心をずっと大切に、若い人たちと成長していきたいです。
企画営業木口 雅文
