Interview人のチカラ

信頼関係に
必要なのは
自分が
「主役」になる覚悟。

空間づくりとは、人々を
感動させるための挑戦。

正直に言えば、私は空間づくりがどうしてもやりたいという理由で工芸社に入社したわけではありません。ものづくりや空間づくりに対して特別な興味を持っていたわけでも、何かを学んでいたわけでもなかったですから。就職活動は、営業職に就きたいという希望だけで行っていましたね。 ただ、学生時代からイベントやコンサートに行くことは好きでした。その空間全体が持つ圧倒的な雰囲気や、人々が集まることで生み出されるエネルギーに引き込まれそうになる感覚。その瞬間だからこそ得られる高揚感や驚きみたいなものが堪らなかったんです。なので、営業として空間づくりのプロデュースができる工芸社で働く道を選びました。 現在は、主にブースや展示会の主催者工事の提案営業を担当しています。クライアントのニーズを聞き、その要望を形にしていくという空間づくりのプロセスが、今ではすっかり生き甲斐になっていますね。特に展示会のような短期間のイベントで、限られた空間を最大限に活用し人々を感動させるというチャレンジは、他では味わえないこの仕事ならではの魅力だと思っています。 毎日の業務では、クライアントとの打ち合わせを行い、デザイナーや協力会社と連携してプランを作り上げます。予算の範囲内でいかに魅力的なブースをつくるか。それが私の腕の見せ所です。

どんなときでも
前を向く。
それがプロデューサーに
必要な姿。

空間をプロデュースするプロデューサーとしての姿勢が自然と身につくようになったのは、入社して3~4年が経った頃でした。転機となったのが、初めてモーターショーのブースを担当したことです。このモーターショーは私にとって、いつかは担当したいと思っていた目標のひとつでした。当時、自主的に行っていた電話営業の中で獲得したチャンスだったのですが、並々ならぬ想いで日々取り組んでいたことを昨日の事のように思い出します。

そして、このモーターショーを通して、私には仕事の向き合い方の核となるものが生まれました。それは、「自分が主役になる」という覚悟。単にお客様の要望に応えるだけではなく、来場者にどう楽しんでもらうのか。そのためにどうインパクトを生み出していくのか。プロデューサーとしてイベントを成功させるために、周りも巻き込みながら積極的に考え、動くことで、結果的に予想以上の成果につながるという体験ができたんです。どんなときもまずは自分が前を向いて周りを導いていく。これこそが空間づくりをプロデュースする人間にとって必要不可欠な姿だと気づくことができました。 もちろん失敗もたくさんありましたが、次のステップへの道しるべになるのは、失敗から得る学びです。そこを恐れて立ち止まっていたら、成長もしませんからね。

質を上げるためには、
お客様と直接会うことが
大事。

この仕事で大切なことは、お客様との信頼関係を築くことです。我々の仕事は、単に空間というカタチをつくればいいというものではありません。重要なのは、お客様との対話の中で、その要望をすべて引き出していくこと。お客様が心から満足できる空間を提供するためには、そこまでのプロセスが大事なんです。 なので私は打ち合わせだけでは終わらせずに、なるべくその後にお客様と食事へ行くようにしています。そうした場では、普段話せないようなざっくばらんな会話ができるので、次につながるヒントが得られやすいんです。相手の懐に入るといった感じでしょうかね。お客様の本音を引き出すことができれば、提案する「質」も格段に上げることができます。

このスタイルは、リモートでの打ち合わせが普及した今でも続けています。直接顔を合わせたほうが、お客様の機微な表情や空気感から多くの情報を得られるからです。また、相手の判断や決定が早くなり、結果として仕事がスムーズに進んでいくというメリットもあります。労力はかかりますが、この急がば回れのやり方は、最終的にお客様との強固な信頼関係につながり、案件を成功へと導いてくれています。

挑戦を続けることで、
空間づくりの
新しいスタイルを
生み出したい。

工芸社では、一人のお客様を一人の営業が責任を持って担当するというケースが多いです。ただ私は今、このスタイルを後輩たちと一緒に少しずつ変えて行きたいと思っているんです。会社も、そして空間づくりのやり方も、時代の流れとともに変化していかなければいけないと。もちろん、これまでの“工芸社らしさ”というのは大切に維持しつつも、これからは個だけではなく、若い人たちも含めたチームとしてのチカラをもっと発展させていきたい。 こういった想いは、マネージャー職になって後輩たちと仕事をする機会が増えてからより強くなっていきましたね。最近は、空間づくりのカタチが少しずつ変わり、従来の方法だけでは新しい感動を生み出すことが難しくなっています。その中で我々マネージャー陣には、空間づくりの次のステップを示さなければいけないという責任があります。そこに、若い人たちの柔軟で斬新な視点や発想を取り入れられれば、それこそ、場所や形式という今までの枠を超えた新たなやり方が生まれると思うんです。

例えば、トラックの荷台に会場をつくってしまって、スイッチを押せばどこでも展示会が開けるというような。これまで予算や場所の都合でイベントが行えなかったお客様も、もっと気軽に出展できる。そんな新しい空間づくりのスタイルを生み出して行きたいなと常に考えています。 幸い工芸社には、どんな挑戦も受け入れてくれる環境があります。なので、私らしく前を向いて、周りを巻き込みながら、工芸社と空間づくりのこれからのカタチを模索して行きたいですね。

企画営業野中 雄志